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神経内科

挨拶

教授 谷脇 考恭久留米大学での神経内科疾患の診療は、第一内科第3代の倉田誠教授時代(昭和32年 ― 昭和51年)に行われていたようですが、神経内科が診療科となったのは、昭和64年1月、庄司紘史教授の時代です。平成18年3月に庄司教授が定年退職され、同年4月より私が担当させていただいています。伝統ある教室をさらに発展させるべく努力して参りたいと思います。

神経内科の魅力の1つは、扱う領域はとても広くてやりがいがあることです。来院される患者さんの主訴で多いのは、頭痛、めまい、手足のしびれ、脱力、歩行障害、気を失う(失神発作・てんかん)、ふるえです。疾患としては片頭痛・緊張型頭痛などの頭痛性疾患、パーキンソン病・症候性パーキンソンニズム・脊髄小脳変性症・筋萎縮性側索硬化症・ハンチントン病などの変性疾患、本態性振戦・痙性斜頚・眼瞼痙攣・書痙・舞踏病・ジストニー・ミオクローヌスなどの不随意運動、多発性硬化症・重症筋無力症・ギランバレー症候群・慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーなどの自己免疫疾患、髄膜炎・脳炎などの炎症性疾患、脊髄症・脊髄炎・HAM・痙性対麻痺などの脊髄性疾患、多発性神経炎・多発性単神経炎・単神経炎・根神経症などの末梢神経疾患、筋炎(多発筋炎・皮膚筋炎・封入体筋炎)・筋ジストロフィーなどの筋肉疾患、ウェルニッケ脳症・脚気・ミトコンドリア脳筋症などの代謝障害、脳梗塞などの脳血管障害、認知症(アルツハイマー病、血管性認知症、びまん性レビー小体病)を含めた高次脳機能障害が対象となり、多種多様です。

2つ目の魅力は、謎解きです。神経系疾患は正確な病歴聴取と系統的な神経学的診察により病因・病変部位および病名・鑑別診断を論理的に推測し、その後、適切な検査を行って診断・治療するという手順を踏みます。この過程は、非常にダイナミックで面白く、推理小説を解くような興奮が味わえます。

3つ目の魅力は、分子生物学や脳科学といった最先端の神経科学の驚異的な進歩と直結し、病因解明や診断法・治療法が飛躍的に進歩していることです。ひと昔前、神経内科疾患は、多くが原因は不明であり、攻略の糸口を見出しがたいものでした。しかし、過去20年間の分子遺伝学の進展により事態は一変し、多くの神経難病の病態が今まさに分子レベルで解明されつつあり、原因療法の開発まで進められているものもあります。脳科学の発展も、神経疾患の病態機序解明に大きく寄与しています。つまり、「わからない、なおらない」から「わかる、なおる神経内科」への歴史的な転換を迎えつつあり、将来が非常に楽しみです。

臨床

病棟は常に10名程度の入院患者がおり、病棟医長が神経内科グループのため、患者数が増えてきています。
入院症例の内訳はパーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症などの変性疾患、脳炎・髄膜炎などの感染性疾患、多発性硬化症・重症筋無力症などの自己免疫疾患、多発筋炎などの筋疾患と多岐にわたります。問診と神経学的診察を行い病巣の部位と病因を推定するトレーニングを反復することで神経内科医としての基礎を身につけることができます。また、腰椎穿刺や神経伝導検査・針筋電図などの電気生理学的検査、筋生検などの基本的手技も多数経験できます。脳血管障害の症例は済生会福岡総合病院で1年研修することにより経験できます。当科は日本神経学会認定教育施設であるため、内科認定医取得後早ければ卒後7年目に神経内科専門医の受験資格を得ることができます。神経内科専門医取得後にはsubsupecialityとして、てんかん/認知症/脳卒中/頭痛などの各専門医も取得できます。

教育

当科では研修医教育に力を入れています。特に神経内科専門医の育成を大きな目標としています(具体的な研修プログラムは専門医への道を参照してください)。神経内科の診療の大きな特徴は、問診とベッドサイドの診察所見のみで理論的に病巣の推定(解剖学的診断)ができ、さらに発症の様式と経過、そして病巣の拡がりから病気の原因がかなりの例で推定できることです。これは経験・技術のある指導者に習わないと、なかなか習得できません。現代はMRIをはじめとする画像診断が大変進歩しましたが、画像だけでは診断できない例もかなり多く、その場合には患者さんは神経内科に回されてきます。実際、神経内科は他科からの紹介が多く、それに的確に対処できることが必要です。開業されている先生も、他の病院からの紹介が多いようです。当科では、このようなコンサルテーションに対応できる、神経内科専門医を目指し、教育しています。

研究

助教 谷脇 考恭研究においては、臨床から出発した神経難病の病態の解明と高度先進医療の開発をめざしています。病棟医には症例報告を通じた疾病の病態の考察と病棟からのよりよい治療法の確立を奨励しています。同時に基礎的研究にも力を入れています。

谷脇教授および山下助教が、認知症(高次機能障害)、パーキンソン病や脊髄小脳変性症の機能的MRIやPETなどの脳病態生理研究を精力的に行っています。さらに、 佐野助教が遺伝生化学(家族性高CK血症、脊髄小脳変性症や家族性末梢神経障害の病因遺伝子解析)を行っています。神経疾患には遺伝性があるものが多く連鎖解析などの遺伝子研究や、認知症・脳卒中など頻度が多い疾患の疫学研究など幅広い研究が可能です。

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